明石 洋子さん講演会 感想文
2003年10月11日 於 北見市民会館

 第1部の明石 徹之さんご本人のコーナーでの質疑応答で感銘を受けたことがあります。
 それは、ある質問者が「仕事を辞めたいと思ったことはないですか?」と質問したのに対し、徹之さんが「ありません」と即答されたことです。
 今、仕事に生き甲斐を感じている人がどれだけいるのかを考えると、仕事を楽しくできる徹之さんは、きっと誰よりも幸せなのだろうと思いました。


「周囲の反対者は最大の理解者になる。」

 ついマイナス思考してしまう私にとって、明石 洋子さんのお話は励みになりました。

 「この子がこうなったのは、親の育て方が悪い」と近所や親戚にまで言われ続け、子育ての挫折から、何度も命を絶ちたいとさえ思っていた時代を乗り越え、「今はこの子との出会いのお陰で、QOL(生活の質)が高まり、感謝している」という話にも感動しました。
 また、「○○ができる」ではなく「幸せになる」を目的とすること、ということばにも、本人の側に立った療育という基本の大切さを感じさせて頂きました。
 
 「子どもが変われないではなく、周りが変わっていく」
 インクルージョンの視点もずばり指摘もされました。

 「近所に迷惑をかける水遊びを禁止するのでなく、水へのこだわりを利用して風呂掃除に発展させた」
 「標識、テレビ、紙と鉛筆など、こだわるものをすべて取り除いたら、この子は手をひらひらさせるだけになった。こだわりこそ、知的活動の元だった」
など、「こだわり禁止論」よりも、こだわりを生かすことが有効であるという話も説得力を持っていました。

 公務員試験合格後、老人福祉施設では、掃除の仕事の手順を作成して示すことで仕事がスムーズにでき、お風呂は改装したと思われるほどきれいになったことや、職場で困ったことを相談できる担当の職員を当番で決めておいたり、トラブルがあった時には、理解をえるべくお母さんが直接職員と話し合って解決したり、近所に自作の啓発新聞を配るなど、地域にサポートシステムを自ら作り上げたというお話には、そのアイデアと実行力に圧倒される思いがしました。

 親がこの世を去った後も、「3つのサポート体制」があれば自立できるというビジョンと計画のお話には、将来までを見据えた、どの地域にも実現したい体制であると感じました。

 あの短い時間に、濃厚な内容がたくさん盛り込まれていて、メモしきれないほどでした。
 私は全く同じことはできないと思いますが、プラス思考で実行することの勇気を与えてくださったように感じました。
 (文責:常任理事T)