環流レポート
オホーツクADHD&LD懇話会 9月例会(講演会)

「子どもの健やかな成長を求めて」
−星槎(せいさ)国際高等学校の実践を通して-

講師 星槎国際高等学校 校長 跡部(あとべ)敏之氏

日時    2001年9月29日(土)
場所 北見赤十字病院4階会議室



 LDを専門的に受け入れている「星槎(せいさ)国際高等学校」校長の跡部(あとべ)敏之先生をお迎えして、講演をして頂きました。
 跡部先生は、道内の「ことばの教室」に長く携わってこられた先生です。
 
 先生は、金子みすずの「みんな違ってみんないい」という詩を取り上げた上で、こう述べました。

 「『』という漢字は、『イカダ』という意味があります。長さや太さがバラバラな丸太、つまり様々な個性を結んでイカダを作り、星に向かって行こう、という願いが、「星槎」という名前に込められているのです」

 また、星槎高校の特色について、先生は次のように述べました。

・80単位で卒業(平成15年度から74単位)・・・学年ごとの単位修得基準はない
・広域通信制、単位制、普通科の高校である
・一人で生きていける勇気と自信を育てる
・個性を大切にした体験重視の教育を行う
・断片的知識をではなく、総合学習により生きる力をつける
・社会適応技能(SST)を高める指導を行う。

  通信制のため、週2回登校すれば良く、その他の日はアルバイトなどをしている子どもの例が紹介されました。
 遠くからバスやJRで登校する生徒もおり、始業時刻を11時としているこの学校について、先生は述べました。

 11時の始業時刻でも、遠方からでは早朝から家を出なければならず、下校も夜遅くになります。不登校だったのに、星槎になってから、半分の子はちゃんと登校してきます。1〜2割は皆勤賞です。
 このことは何を意味するのでしょうか? 
 頭から駄目だと否定すれば、反発を招くだけです。彼らは気持ちを受け止めてくれる場を求めているのです。


 親子の関係について、先生はこう述べています。

 親から教わった「やさしさ」があるから、今あなたは子ども達にやさしくできるのです。
 子どもは、親との「愛着関係」が大切です。子どもが自立すると、親子関係は行動上では離れていきますが、「愛着心」は一生続くものなのです。
 田口恒夫は、「安心感の蓄えを」と教えました。「興味関心」、「聞き分け」、「しつけ、自立」、「友達遊び」、「模倣、学習」、「ことば」のすべての原点に「安心感の蓄え」が必要です。
 親が禁止ばかりすると、子どもは興味関心を無くしていきます。「おもしろいね」と思わせることが、興味関心のもとであり、将来生き生きとした、やるべきことをやる人間にするのです。 



星槎高校の展示資料に見入る参加者



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