オホーツクADHD&LD懇話会 5月例会(講演会)
「LD児および周辺児へのかかわり方」
−発達障害を理解し,対応のための連携をつよめましょう−

環流レポート
日時    2001年5月13日(日)
場所 北見赤十字病院4階会議室

 当会は、大阪教育大学の教授で、日本LD学会副会長の竹田 契一先生をお迎えし、ご講演を頂きました。講演会には、オホーツク海側を中心とする各地から100名弱のご参加を頂きました。

 初めに竹田先生は、LDやADHDの定義を紹介しました。この中で先生は、
 「LDは、親の育て方が原因というのは、定義上あり得ません。脳の中枢神経の問題です」
と強調しました。
 ただ同時に
 「LDとわかってから、どのような育て方をするかが、二次的障害(自信喪失、不適応行動等)を防ぎ、その後の人生を大きく左右する」
とも述べました。

 また、竹田先生は、日本のLD教育について
 「日本のLD教育は、アメリカと比較すると30年以上の遅れがあります」
とし、教育行政の充実や、教師がLDの認知障害を理解し、アプローチする「認知神経心理学」の勉強が必要であると述べました。

 LDは脳の中枢神経系の問題ばかりではなく、図形が見えない、物が二重に見える、聴覚的な問題があるなどの末梢神経の問題をも含めて考える必要があるとし、OHPによる錯覚の実験や、額に紙を当てて字を書くなどの「LD疑似体験」も披露されました。

 この中で竹田先生は、
 「図を見て40人学級で39人が見えても、その子には見えない。見えないことだけが原因で、勉強がつまずいてしまう。輪郭線を入れたOHPシートを重ねて見せるという個々の配慮で、見えるようになります」
と、個々に合った指導法の重要性を指摘しました。
 
 その具体例として先生は、
 「この子は漢字が書けないから、何回でも同じ文字を書かせてやる、というやり方は、ひとつも解決策になりません。『十』という文字を見て、2本の線が重なっている部分が見えないLDもいるのです。なぜできないのか、原因はひとつではないから、個々に合った適切な指導が必要です」
と述べました。


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